どこから広まったのか、王子様がスフィア様の所へ入らしたという情報はハレム中に広まっていた。
私がそれを知ったのは元私のお世話係だったギャビンさんからで、用事がありハレムから隣の宮へ向かった時だった。
「貴女、大丈夫……?」
そう声をかけてくれたのはギャビンさんで隣にはチベットさんもいた。
「ジルさん、チベットさん。お久しぶりです」
手に持っていた資料を抱えたまま軽く一礼する。
「何よギャビン。この子元気そうじゃないの〜!」
「どうかしたのですか?」
チベットさんのよく分からない言葉に首を傾げる。
するとギャビンさんは少し驚いた顔をした後に、納得したようにある言葉をかけてきた。
「先日、貴女が仕える側妻様の所に誰か来られなかった?」
「先日ですか?そうですね〜……………確か王子様が来られましたが」
それが一体どうかしたのだろうか。
まさか、あのお茶を飲んだ王子様がお腹を下したとか……………っ!!?
それはいけない!!私、死刑かも!毒殺未遂!?それとも何!!!??
理解できていない私に隣で見ていたチベットさんがため息をつく。
「貴女馬鹿なの?新人だから知らないだろうけれど、王子様がこのハレムと繋がる廊下を渡り、側妻様に会いに行ったら何だと思う?」
「……………………単純に会いたかったからでは?」
でないと態々来ないよね。