………うるさい…



慌ただしい音に眠りを邪魔されて、イライラが込み上げてくるが、ここで起き上がって悪態をつこうものなら、その時点であいつらの勝ちだ。

速攻で、あの騒ぎの中に引きずり込まれるに違いない。



だが…



「夏樹ー、ソファで寝てねーでちゃんと自分の部屋で寝ろよ。」


「そんなとこで寝てると風邪ひくぞ。」



こっちから入らなくても、あっちからやって来る。



「…昨日帰ってくるの遅かったんだよ。邪魔しないでくれ。」


うつ伏せでクッションに顔を埋めたままもごもごと喋ってもちゃんと伝わったはずなのだが…

「なぁ、俺の鍵知らねー?」

お構いなしに話しかけてくる。


だからいつもの様に俺は答えない。
朝は例外なく弱いのだ。



「げっ!またかよ!ちゃんと同じ場所に置いとけよー」


「昨日はちゃんとあったんだけどな。」


「お前他のことはちゃんとしてんのに何で鍵だけ雑なの?」


「秋(アキ)ー、一緒探してくれ。」


「はあ!?俺朝会議あんだよ。」


「この前、残飯処理手伝っただろ?」


「残飯じゃねー!あれは試作品だ!」



大の男二人で朝から騒がないでほしい…
寝れないじゃないか…