ーこれはまだ私が幼いときのお話ー








今日、風凄いなー


ベッドの中から風がガタガタと揺らす窓を見れば、降り出した雨が豪快に濡らすガラスに閃光が走った。


『トントン』


ノックの後ドアが開き顔を出したのは、一番上の兄だった。


「ヒロー、大丈夫か?怖くないか?」


「大丈夫だよ。」


心配性の兄はいつも私のことを気に掛けてくれる。


「一緒に寝ようか?」


本当大丈夫だよ、と言おうとしたが…
そこで兄の片腕には既に枕が抱えられているのに気づいた。


「…うん、じゃあ一緒に寝ようかな…」



兄が布団に足を入れ隣に座ると…


『トントン』


また扉がノックされ、今度は姉が顔を出した。


「ヒロー」


部屋の中に私だけではないことが分かると、整った顔で「チッ」と舌打ちをする。


「おい、アヤ!」


一兄が舌打ちを咎めても彩姉は知らぬ顔で話を続ける。


「ヒロー、眠れないならお姉ちゃんが一緒に眠って上げるー」


返事をする前に、抱えていた枕を一兄とは反対の私の枕の横に置き布団に入って来る。


「う…ん、彩姉ありがとう。」


彩姉も一兄と負けず劣らずの心配性で、私のことを気に掛けてくれる。
結構強引に…


こうして兄と姉の間に挟まれ眠ることになってしまったのだけれど…