「だけど、恋はこういうもの!ってゆーような定義ってないと思う」


やっぱり大人は考えることが違うな…。


「聞かせてください。遥さんの恋の話」


遥さんは小指にはまっているリングを、愛おしそうに見つめながら言った。


「僕はもともと、病院で働く医者だった。そこで、ある女の人と出会ったんだ。

名前は未来(みく)。癌で入院していた。二人ともお酒が好きだってこともあってすぐに意気投合したんだ。

しばらくして僕から交際を申し込んだ。未来は泣きながら喜んでくれたよ。それでね、2人で約束したんだ。病気が治って退院したら、籍を入れようって。

あいつはそれを励みに頑張ってくれた。弱音だって一切言わなくなった。

それから3ヶ月がたった頃、やっと退院することが出来て、籍を入れたんだ」


思い出すかのように遥さんの頬がピンク色に染まる。