珍しい。


昨日あんなにいい雰囲気だったのに、葵と一緒にいないなんて不思議だなぁ。


「葵とちゃんと話すのは久しぶりだね」


この備え付けの椅子に座るのも久しぶり。


ちょっと緊張しちゃう。


「ごめんな。あんまり雪と話せてなくて」


「全然いーの。美月ちゃんと久しぶりに会ったんだし」


両思いなんだし。


その言葉は、口には出さなかった。


辛くなるから。


葵への恋心をなくそうと思っても、やっぱり無理だった。


考えないようにすればするほど、葵のことばかりが浮かんでくる。


この気持ちは制御できないみたい。


でも美月ちゃんには勝てないってわかってるから。


だから、この気持ちを伝えるのは葵がいなくなる時。