私はしばらく放心状態のままベンチから立ち上がれずにいた。


美月ちゃんほんとに葵のこと大好きなんだな…。


だって会ったばかりの人に宣戦布告なんてふつー出来ないよ。


それでもやっちゃうのが美月ちゃん。


その行動が、葵のことをどれだけ想ってるのかを表してる。


私なら、出来た?


ライバルが現れた時に、美月ちゃん程ではなくとも、真っ向から戦うことをしようとしてた?


……だめじゃん私。


「はぁ……」


このまま葵の病室に行こうかとも思ったけど、美月ちゃんがいるだろうからやめておいた。


こんな言い合いをしたあとに、美月ちゃんの前に堂々と姿を現せるなんて、私のメンタルはそんなに強力じゃない。


"寝てるみたいだから今日は帰るね。お大事に"


葵にそうLINEを送った私は病院をあとにした。