リトルガーデン~愛溢れる場所~

あきひろは夜中にわたしの部屋の暗い窓をこんこんとたたき、返事もしないうちに窓を開けてよいしょと入ってきて、ベッドにばたんと倒れ込むばかりだった。

わたしは寝ぼけてあきひろの髪の毛を触りながら、ああ、シロップがいたらなあ、と思った。

あの小さい舌であきひろをなめまわし、飛びつき、あきひろの体の上に乗って眠ってあげてくれればいいのに………しかしそのことを想像するだけでわたしまで涙が出てきた。


歳をとり、目があまり見えなくなって、かたくなって、最後には冷たくなってしまったシロップ、
それでも子供の頃と全く変わらない勢いでわたしたちを
愛し続けたシロップの暖かい感触を思い出すと、
まだ自分は立ち直ってなくて、死は自然なことと口に出したらまだうそになってしまうのを知っていた。

ましてシロップに続いておじいさんを失ったあきひろの心のことなんて、想像してあげたらもっとうそになってしまう。

あきひろの世界からおじいさんとシロップがいなくなったということがどれほどのことか、
苦労知らずのわたしにはきっとほんとうにはわからなかった。

きっとわたしのそういうところに彼は救われてもいるのだろう。