「ちょっと、トイレ行ってくる」



まずは外の様子を見に行こうかな、ついでにトイレにも行っておこう。



廊下に出ると、怖いぐらいに静まり返っている。



トイレは一番端にあるけど、なんだかちょっと不安。



ひとりで行くの…怖いな。



ガチャッ。



「!!!!!!!!」



少し歩いたところで突然真横のドアが開き、悲鳴をあげそうになるところをなんとか踏みとどまった。



「…悪い、驚かせた?」



申し訳なさそうな顔であたしを見ているのは、隣のクラスの男の子。



メガネの縁にかかるほどの長い前髪、落ち着いたその表情と淡々とした話し方の男の子。



名前は確かー…。



えっと、誰だっけ。



そういえば…顔はわかるけど、名前は知らなかった。



「だっ…大丈夫…」



「いや、全然大丈夫じゃなさそうだけど。立てる?」



そういえばあたし、驚きすぎて腰を抜かしちゃったみたい。



気づけば床に座りこんでいた。