「なんのこと?」



ああー…やっぱり違うんだ。



ううん、じっと見れば見るほど、昨日のメガネくん…のような、気がする。



「ううん、やっぱりあたしの勘違いなのかも。それでも言わせて。昨日一緒にいてくれてありがとう…もう平気だから」



武藤くんは無言だ。




だけど黙って立ち去ることなく、あたしの話をじっと聞いてくれている。



「それと、さっきはかばってくれてありがとう。なんかわかんないうちに、みんなに誤解されちゃったの。あぁ言ってくれて、すごく嬉しかった…です」



やっぱりどうして、敬語になっちゃう。



武藤くんの威圧感がこうさせるのか、敬意を表したいからこうなるのか…自分でもよくわからない。



「…泣きすぎ」



武藤くんがあたしの前髪を片手で払った。



けど同時に、それはあたしの顔を周囲の人の目から隠してくれたんだとわかった。