【完】武藤くんって甘くない

「武藤くん…大好き」


「全然聞こえねぇ」


「好き…」


お互い、なにを言ってるのかわからないけど…。


きっと、あたしのことを好きって言ってくれてるんだよね?


パレードの先頭に立ってパフォーマンスをしている人が、あたしに手を差し伸べてきた。


えっ…あたし!?


一緒に踊ろうってことなの?


思わず一歩足を踏み出したところで、武藤くんに後ろからギューっと抱き締められた。


そして、耳元で武藤くんの声がする。


「どこ行く気だよ。俺の側にいろよ」


ドッキーン。


ひゃああっ…。


あたしが行かないのを見て、パフォーマンスの人は隣の人を誘って一緒に踊り始めた。



ふうっ…。



一行が過ぎ去ったあと、観客は散り散りバラバラになる。


あたしたちも移動しなきゃ…と思ったら、武藤くんはまだ離してくれない。