【完】武藤くんって甘くない

大きな武藤くんの手に、すっぽりと包まれている。


武藤くんの手ってあったかい…。



温もりを感じながら、混雑している電車に乗り込んだ。


中は会社帰りの人で混んでいて座れそうにないから、ドアの側にいることにした。


閉まったドアを背にすると、向かい合うように武藤くんが立った。


「人多いな…」


「うん…」


手を繋いだことを、お互い敢えて口にしない。


言ったら余計に意識してしまいそうだから…。


電車が揺れて体がぐらつきそうになっても、武藤くんが引っ張ってくれたり支えてくれるから転けずにすんだ。


「わー、夜景が綺麗だね」


「夜景ってほどじゃないけどなー」


窓の外に目をやると、高速道路のライトが光ってとても綺麗に見えた。