「武藤くん、好き…」



「…あそ」



あ、そうって!



ううっ…。



あ、なんか目がチクチクする。



ゴミが入ったかも。



目をこすっていると、武藤くんが顔を覗き込んできた。


「もしかして…本気で泣いてる?」


「目に、虫が入ったみたい」



あ、虫じゃなくてゴミ。



訂正しようとして顔を上げると、至近距離で目が合った。



ドキッ!



このまま、キスの流れになったりして。



思わず胸元に手を置くと、武藤くんは押し返すことなくあたしを見つめたまま。


「物好きな虫だな」


「あたしのこと、好きみたい」


虫なんかより、俺の方がもっとお前を好きだから、とかって言わないかな…。