「偵察ご苦労さま」


意味ありげに笑ってる。


「盗み聞きするつもりはなかったの。あたし…ちょっと舞い上がってて、それで怒って教室を出て行ったのかなと思ってたら、ここであの子と…」


「安心しろよ。お前と違って、間違ってもキスされたりしないから」



ううっ、さっきの小松くんとのことだよね。



「あれはっ…隙がありまくりでした!もうあんなことないから」



教室の中を見ると、小松くんは女の子と楽しそうに話している。



「ありがとう…女の子に、あたしがいるからって言ってくれたんだね。武藤くんって優しい」



すごく嬉しかったよって言おうとしたら、武藤くんがククッと笑う。



「別にお前のためじゃないから。あいつが来る度に田中に拗ねられたら、面倒だし」



そう言ってるけど、それも優しさだって知ってるよ。


「ありがとう…」