なんて言うのかな…。


「あー、別にいいけど」


断るかと思ったけど、それはないかぁ。


ま、あたしがそこまでとやかく言うことはできないよね。


女の子がニッコリと微笑んでいる。


武藤くんはなんともないって言ってたけど、やっぱり気があるように見えて仕方がない…。


不安になっていると、武藤くんは辞書に視線を落としてこう言った。


「だけどさ、あいつに心配かけたくないから。学校で話すほどでもないことなら、わざわざ来なくていいかな」


…え。



あたしもびっくりしたけど、女の子もタジタジになっている。


「あっ…そう、だよね。彼女が誤解しちゃうよね。ごめんね…これも塾で渡せばよかった。じゃ、あたし行くね」


女の子は逃げるように自分のクラスへと帰って行った。


辞書を片手に武藤くんが教室の方へと歩き出す。


そこで、あたしと目が合った。