【完】武藤くんって甘くない

黙ったまま、コクコクと大きく頷く。



「先生…」



今度は扉を指さしながら、小さな声で囁くように話してみた。



「あー、タイミング悪いな。さっさと戻ればよかった」




「ごめんなさい…あたしのせいで」



しょぼくれていると、メガネの男の子が軽く首を振った。



「悪い、そういう意味じゃない。まさか一部屋ごとに確認するわけもないだろうし…仕方ないから、しばらくここにいるか」



メガネの男の子は階段に腰かけると、スマホを手に取り時間をチェックしている。



しばらく…。



なんか、とてつもなく迷惑をかけてる気がしてきた。



あたしに巻き込まれなきゃ、もうとっくに部屋に戻ってるよね。



「ほんっとにごめんなさい!あたしのせいで」



「いーよ。こういうの、なんかスリルあって楽しいし」



本当に!?



そう思ってくれるの?