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「すずめちゃん、おはよう!」
そして次の日。学校へと向かう道の途中で田崎が立っていた。
田崎にしては珍しいぐらいの大きな声だったから、周りにいた人たちが一気に注目していた。
私が通行人のように横を素通りすると、田崎は案の定後ろから追いかけてくる。
「すずめちゃん……!」
ああ、なんで私が田崎に感情を左右されなきゃいけないんだろう。このイライラしてる時間も勿体ない。
「あのさ、私タイプじゃないってはっきり言わなかったっけ?」
田崎を鋭い目つきで睨みつけた。
「うん。言われたよ。でも頑張りたい」
「は?」
「俺、見た目は女の子みたいだし、背も低いし、すずめちゃんに選んでもらえないことも分かってる。でもいつかすずめちゃんを守れるぐらい強い男になりたいって思ってるんだ」
田崎はとてもまっすぐな目をしていた。それを直視できずに逸らしたのは私のほう。
「……バカみたい」
もっと容赦ない言葉で突き放すつもりが、その一言しか出てこなかった。



