大人の階段を駆けあがる




今まで告白された数は数えていない。だから告白してきた男の顔も覚えていない。

付き合う条件はそれなりにある。色々な項目をクリアしていた年上の彼氏とは先日別れたばかり。

もちろん振ったのは私だ。


ルックスも整っていた人だったし、大学生だったけど車を持ってた。デートの送り迎えは当たり前で、なにより医学部だったから将来は安泰かなと思って付き合った。

でも割りとケチな部分があったし、ご飯を食べる時にクチャクチャ音を立てるのが我慢できなくて別れた。


出逢いは私から求めなくても寄ってくる。

きっとまたすぐに新しい彼氏はできると思う。

でもそれは、付き合ってもいいという条件を満たしているだけの人であって、好きだから付き合うという感覚が私にはない。

だから私は人を好きになったことがない。


ドキドキしたりしない。ソワソワしたりしない。連絡が来なくても寂しくならない。

彼氏は途切れずにできるけど、私はたぶん恋愛したことがないんだと思う。


「ニャアア」


学校からの帰り道。またあの三毛猫がいた。

おそらく特定の飼い主はいなくて、自由気ままに歩いては色んな人な可愛がられているのかもしれない。