「昨日は助けてくれて本当にありがとう」
田崎は学校へと向かう登校中の道で私のことを待っていた。
朝は低血圧で基本的に不機嫌だから、なにを言ってるんだろうとしか思えなくてもちろん無視。
けれど、次の日もまた次の日も飽きずに毎日、田崎は私の前に現れる。
うざい、キモい、しつこい。
何度言っても田崎には効かない。
どうやら私の一言のおかげで田崎をいじめていた男子たちが大人しくなったらしい。
『本当にすずめちゃんのおかげだよ』と、馴れ馴れしく名前を呼び、命の恩人のように慕ってくる。
……ああ、本当に大失敗。
私の一言と言うより単純に男子たちが熱量を田崎からスマホのゲームに変えただけのこと。
私はなにもしてないし、田崎に関わったつもりもないのに、田崎はことあるごとに傍に寄ってくる。
知らず知らずに私は田崎というのら猫にエサを与えてしまったようだ。
「すずめちゃん。このジュース……」
「鬱陶しいから懐かないで」
そして今日も田崎は私の周りをうろちょろ。正直、本当に頭を抱えるぐらい迷惑してる。
「なにあれ、ウケる」と、私の可愛さに嫉妬してる女子からは恰好(かっこう)のネタになっているし、私はなにより田崎みたいになよなよしてる男が一番嫌いなのだ。



