大人の階段を駆けあがる




はっきり言っておく。

これは決して田崎に同情したわけでもないし、助けようと思ったわけでもない。

ただ、田崎なんて地味キャラを上回るほどの影が薄いヤツだし、そんな相手に寄って集ってなにしてるんだろうって。

ムカつくなら無視してればいいのに、いちいち絡んでダサいな、バカみたいだって思っただけ。


『えーなになに、月岡さんじゃーん』

田崎をいじめていた男子はみんな私のことをエロい目で見ていたヤツらだった。


画面偏差値が低すぎて名前すら曖昧だけど、連絡先教えてよ、遊ぼうよとしつこく言ってきて、鏡見てから話かけろよと思ったことだけは覚えてる。


……本当に締まりがない口元。

私に対しても鼻の下を伸ばしてヘラヘラと。こういう近くにいるだけで不快感を覚える人とは同じ空気すら吸いたくないので無視。


『えーもう行っちゃうの?月岡さーん』

私は気持ち悪い声に振り向くことなく立ち去った。


そのあと家に帰ってお気に入りのバスソルトを入れたお風呂に浸かる頃には、不快な男子たちも田崎のこともすっかり忘れていた。


なのに、翌日……。