シャーペンとかノートとか無難なものを言われたらどうしよう。できれば印象に残るものがいい。


今まで田崎がもらったことのないもので、誰からももらえないもの。

それでいて、私だけがあげられるもの。



「すずめちゃんがほしい」

田崎は迷うことなく即答だった。


そんなにまっすぐ見ないでよ。

田崎の瞳に映りこんだ自分が綺麗だと勘違いするじゃない。

心が、綺麗になったと思いたくなるじゃない。



「私、ワガママだよ。たぶん田崎を困らせるよ」

「大丈夫」

「ルールもあるよ。極力減らす努力はするけど、厳しくすることもあると思う」

「大丈夫」

「取り扱い説明書が5枚くらいになっちゃうよ。途中で嫌になるよ。そうなる前にちゃんと考えて――」

「大丈夫だよ、すずめちゃん」


私の声を遮るように田崎は笑った。