「でも俺、すずめちゃんが〝田崎と私たちは違う〟って言ったことがすごく引っ掛かってる。俺とすずめちゃんは違うの?」
あの時は田崎を守ろうと必死だったけど、その言葉に嘘はない。
「……全然違うよ」
だって私は人を蹴落とすこともできるし、悪口だって平気で言える。田崎みたいに、私は綺麗じゃない。
だから違うよ、私たちは。
せっかく田崎の日常が落ち着いてきて、風当たりもよくなってきてるのに、私といることで評判を落としてしまうかもしれないし、こうして巻き込んでしまうかもしれない。
「たしかにすずめちゃんと俺が住んでた世界は今まで違ったかもしれないけど、これからは同じがいいって思ってる」
田崎は掬い上げるように私の手を握った。
もう、田崎なんて、とは言えない。
だって、こんなにも田崎にドキドキしている。
「た、誕生日……」
「え?」
「欲しいものとかあるの?」
私は不器用に尋ねた。実は教室を出ていく時に田崎と女子たちの会話が聞こえていて、田崎の誕生日が今月だということを知ったのだ。
おめでとうぐらい言ってやってもいいだなんて、学校を出た時には思ってたけど、今は喜んでくれるものをなにかあげたい。
誰かのために、なんて考えたのは生まれて初めてだ。