そのあと場所を移動した私たちは公園にいた。以前も座ったベンチに腰かけて、私は田崎の傷痕を手当てする。
「いてて……」
「じっとして」
手当てと言っても絆創膏は持ってないから血が滲んでいる田崎の口元に濡らしたハンカチを当てるだけ。
それでもかなり滲みるようで田崎は痛そうに顔を歪めていた。
「もしかして口の中、切れてる?」
「うーん、鉄の味がするから多分」
「……本当にごめんね」
私はハンカチを当てたまま、唇をぎゅっとした。
田崎が男子たちにいじめられていた時、私は素通りできるぐらい無関心だった。
でも、今は田崎が傷ついている姿を見るだけで胸が苦しい。そんな私の気持ちとは裏腹に、田崎はニコリと笑った。
「すずめちゃんが怪我しなくてよかったよ」
ああ、なんでそんなに私の心をさらっていってしまうのだろう。
自分が怪我してるくせに。私はアンタが怪我をすることだけは嫌なのに、そんな顔をされたら文句も言えない。



