大人の階段を駆けあがる




田崎は私を守るようにして、卓也との間に入った。

「は?なにこのガキ」

卓也と友達の視線が鋭くなる。


卓也たちよりも遥かに身長が低い田崎は体格も負けている。

きっと喧嘩なんてしたことないし、こういう争い事からは一番遠い人なのに、迷子の女の子の時のように駆け寄ってきた田崎に迷いはなかった。


「友達なんです。やめてください」

いつも弱々しい田崎が堂々とした口調で言う。


「は?友達?ぷっ、あはは!すずめ、お前いつからこんなダサいヤツとつるむようになったんだよ。あ、嫌われてるからこういうヤツとしか友達になれないのか」

卓也は「くく」と、お腹を抱えて笑っていた。そんな卓也を見ても田崎は背筋を伸ばして私の前にいた。


「すずめちゃんが怖がってるので、ここで失礼します」

「は?待てよ。誰が帰っていいって言った?」

「すいません、失礼します」

「お前それしか言えねーのかよ。すずめは置いてけよ。帰るならお前だけ帰れ」

「嫌です」

田崎の変わらない姿勢に卓也の表情がみるみる険しくなっていく。


「あんまり俺のこと舐めないほうがいいよ?」

そう言ったあと、容赦なく卓也は田崎のことを殴った。


「田崎っ……!」

地面にしゃがみこむ田崎を助けようとしたけど、すぐに卓也が覆い被さるようにして田崎の胸ぐらを掴んだ。