大人の階段を駆けあがる




「は、離して……」

いくら抵抗しても掴まれた手はびくともしない。

友達たちも卓也に手を貸すように私を囲み、このままでは本気でマズイと私は必死で声を出す。


「やめてってば!警察呼ぶよ」

「は?今まで人のことバカにしてたくせに、自分がヤバくなると人に頼るのかよ。本当に都合いいよな。お前なんて一、二回ヤッて捨てるつもりだったのに、上から目線で振ってんじゃねーよ!」

卓也はさらに強い力で私を引きずった。


「お前の自慢の可愛い顔をめちゃくちゃにしてやるから、覚悟しとけよ」


どうしよう、どうしよう。怖い。

こんなの自業自得で。いつもみたいに威勢よく蹴っ飛ばしてやりたいのに、身体が震えてる。


誰か、誰か、誰か――っ。


「……すずめちゃんっ!!」

その時。勢いよくこっちに走ってくる人影が見えた。


涙がでた。

なんで来るの、来ちゃダメでしょ、来ないでよと、心の中で想いながらも……。


田崎の姿を見たら、安心して涙が溢れた。