大人の階段を駆けあがる




帰り道。私はずっと田崎のことを考えていた。


田崎のことは今でもタイプじゃない。髪の毛を切って少し印象が変わったからと言っても、私の付き合っていいというラインは越えてないし、田崎なんて、と下に見てることも事実。


でも、田崎がこれから成長して、予想外にいい男になって、みんなからモテはじめてしまったらどうしようと思ってる。


他の女子から話しかけられてるのがムカつく。

田崎ーって、名前を呼ばれてるのがムカつく。 


なんで、どうして。


あんなに迷惑してたのに、田崎が隣にいないと寂しい。

早く追いかけてきてって、わざとゆっくり歩いてる。


ねえ、なんで、おかしいよ。こんな気持ちになるなんて。



「すずめ?」

……と、その時。突然、誰かに話しかけられた。


振り向くと、そこには大学生風の男が3人。他のふたりは知らないけれど、私の名前を呼んだ人はたしかに知り合いだった。


「久しぶりじゃん」

親しげに声をかけてきたこの人は、最近まで付き合っていた元カレの卓也(たくや)だった。