大人の階段を駆けあがる




……と、その時。足にふわふわとした感触を感じた。

視線を下に向けると、あの三毛猫がスリスリと頭を擦りつけている。


「ねえ、探してるのって、まさかこの猫?」

抱き上げて確認すると「そう!三宅さん!」と、ふたりは声を揃えた。お姉ちゃんの高校にまで足を運んで可愛がられていたなんて、三宅さんはあなどれない。

お姉ちゃんよりも彼氏のほうが扱いに慣れていそうだったから、私は猫を手渡した。


「すずめも知り合いだったんだね」

「別に」

「ニャアア」

「ほら、友達だって言ってる」

どうやら彼氏は猫語が分かるらしい。


友達になった覚えも、懐かれることもしてない。

お姉ちゃんと顔見知りだったから、匂いが似てただけじゃない。

それか……アイツの、田崎の優しさが移って、私がちょっぴりいい人に見えただけとか。