「私と話したくないってこと?会話をするのもイヤだって?」
「………」
「あっそ。なら、いいよ。別に。私だってアンタのこと気にしてたわけじゃない。ただ勝手に引っ付いてきたくせに急に態度を変えるのはどうなんだろうって思っただけ」
「………」
「私と喋りたくないんでしょ。だったらもう二度と馴れ馴れしく私を呼ば――」
「違う!」
公園に田崎の大きな声が響いた。
……あれ。
たしかに今、声を出したのは田崎だった。でも女の子みたいな可愛らしい声じゃない。
田崎はほんのりと耳を赤くしてベンチから立ち上がった。そして……。
「声、おかしいでしょ?」
喋り方は同じなのに、田崎の声はとても低くなっていた。
「え、まさか声変わり?」
「うん。そうみたい」
同級生の男子たちはほとんど声変わりを終えているから、あまりその境目を知らないけれど、こんなにも声質が変わってしまうことに驚いている。
「実は少し前から喉がおかしくて。がらがら声で喋りにくかったから、もしかして風邪かもって思ってたんだけど……」
なんだか、田崎が田崎じゃないみたい。
急に男の子になった、なんて言い方はおかしいかもしれないけど、声が低い田崎にまだ戸惑ってしまう。



