大人の階段を駆けあがる




田崎はビックリしたような顔をしていたけど、やっぱり嬉しそうに笑ったりはしない。


……モヤッ。ああ、またこのワケが分かんない感情。

別に私は田崎と話したかったわけじゃない。ただ、一言文句を言ってやろうと思って来ただけ。


本来、田崎を避けるのは私のほうで。あっちに行けと追い払うのは私のほうで。

田崎が私を避けて、あっちに行ってよと目も合わせないのは、どう考えても違う気がする。


「私、アンタになんかした?文句があるなら直接言いなさいよ」


ここ数日、私は田崎にしたことをいくつも思い出してた。


キモいとかうざいとか、本当はかなりダメージを受けていたんじゃないかとか。

たくさん話しかけられても「ふーん」とか「あっそ」とか愛想がなく返していたことに怒ってしまったんじゃないかとか。

私に一目惚れしたとか言ってたくせに、私の中身を知って心変わりをしたんじゃないかとか。


そんなこと、なんで私が考えなきゃいけないの?

絶対、おかしい。ありえない。

だからスッキリするためにも田崎の口から聞かなきゃプライドが許さないのだ。


「さっさと言って。今ならちゃんと聞いてあげるから」

すると、田崎は無言で首を横に振った。それがなにを意味してるか分からなくて、どんどんモヤモヤが増えていく。