「優しいのはいいけど、優しすぎると周りから舐められるよ」
だから田崎にはなにをしてもいいと思われてる。
今は落ち着いてるなんて言ってたけど、男子たちがスマホゲームに飽きたらきっとまた田崎を面白がってからかうに決まってる。
「やられたらやり返すぐらいの度胸がないと、すぐにいじめられるよ」
別に田崎を助けたいわけじゃない。
ただ集団でいれば強くなったように勘違いしている頭の弱い男たちが調子に乗ってる姿は見ていて胸くそ悪いだけ。
「……でも俺、死んだ母さんに人には優しくしなさいって言われてきたし、やり返して相手が怪我でもしたら大変でしょ?」
なら、自分は怪我をしてもいいって?
やられっぱなし言われっぱなしで悔しくないの?
だからアンタは……と、ムキになりかけて冷静になった。
考えてみれば、私がとやかく言うことじゃない。
「すずめちゃんにもあげるよ、これ」
田崎がポケットから出したのは、女の子にあげたものと同じ飴だった。
水玉模様の包み紙が可愛くて、飴玉を口の中で転がすと、田崎みたいな甘ったるい味がした。



