「ねえ、お母さんと最後にはぐれた場所とか分かる?」
田崎が女の子に優しく尋ねた。
「ううん……わかんない」
「そっか」
田崎は物腰が柔らかいから小さな子と接してる姿がよく似合う。
「ここら辺は車も通るし危ないから向こうの道に行こう」と、田崎が手を差し出すと女の子は躊躇いながらもぎゅっとしていた。
「どこに行くつもり?」
「スーパーを一軒ずつ回ってもこの子のお母さんと入れ違いになるかもしれないし、無闇に歩かせるともっと不安になるだろうから駅前にある交番に連れていくよ」
「ふーん。じゃあよろしく」と、私が歩き出そうとすると、田崎は女の子と繋いでいない手で私の腕を掴んだ。
もやしみたいに弱々しいくせに、案外田崎は男の手をしていた。
「すずめちゃんも一緒に来てよ」
「え、なんで私が……」
早く帰って海外ドラマのDVDが見たいし、今日は毎月買ってるファッション雑誌の発売日だからコンビニにも行く予定がある。
予定を乱されるのが私はなにより嫌い。
だから、合わせるより合わせてくれる人としか行動しないことにしている。なのに……。
「すずめちゃん、行こう」
田崎に手を引っ張られた。
振り払うこともできたけど女の子が見ている手前そうもできずに、私は渋々交番まで付き合うことになってしまった。



