きつく言っても付いてくる。無視しても付いてくる。本当にしつこすぎてため息も出ない。
「もうすぐ中間テストだね。すずめちゃんは勉強してる?」
「そういえば中庭に蜂の巣があるんだって。通る時は注意してね」
「もうすっかり秋だよね。この前久しぶりに石焼き芋のトラックを見かけて思わずいっぱい買っちゃったよ」
返事をしてないのに、田崎は隣でペラペラと喋り続けていた。
すると、目の前の歩道にひとりの女の子が立っていた。年齢は小学校低学年くらい。なにやら火がついたように泣きじゃくっていて、異変に気づいた私たちは足を止めた。
「どうしたの?」
田崎は迷うことなく駆け寄った。
「ママが……っ……ママが」
どうやらお母さんを探しているようだ。
ここら辺の通りは人気が少ないけど、大通りのほうにはスーパーや商店街もある。
もしかしたらお母さんと買い物に来たけれどはぐれてしまい、泣きながら歩く内に迷子になってしまったのかもしれない。
「大丈夫?泣かないで」
田崎は丁寧に膝をついて女の子の涙を拭いてあげていた。
「どうするの?」
私はその様子を一歩下がって見ているだけ。
さすがに泣いている女の子を無視するほど薄情ではないけど、幼い子はどう扱っていいか分からないから苦手だ。
私は自分でひねくれた性格をしてるって自覚してるし、言いたいこともすぐに口に出してしまうから、もっと泣かせてしまうんじゃないかって。
きっと私じゃ女の子が安心する言葉を探している内に夜になってしまう。



