大人の階段を駆けあがる



田崎はどうやらバカはバカでも底なしのバカだ。

私を守れるぐらい強くなる?

なにそれ。それじゃ私が弱いみたいに聞こえる。


「ねえ、月岡さんって整形らしいよ」

学校に着いて下駄箱で靴を履き替えていると、そんな声が飛んできた。


「だって同小だった人が途中から急に目が大きくなったって言ってたもん」

「うわ、まじで?私、可愛いでしょ?みたいに歩いてるのに結局いじってるとか引くね。あれは作り物だってみんなに教えてあげなきゃ」

そう言いながら教室へと向かっていく女子は、日頃から私のことをよく思っていないクラスメイトだった。


……整形するならもっと理想的な顔になってる。

元々奥二重だったから強力なアイテープを24時間貼り続けて、くっきりとした二重を作るために鏡の前でじっと瞬きを我慢していた時もあった。


一年間続けた結果、なんとか元より幅の広い二重を手に入れたけど、毎朝の化粧には二時間かかるし、可愛くいるための努力なら誰にも負けない自信がある。

そうやって自分のしたいことを貫いているだけなのに、こうして毎日ありもしないことを言われる日々。


集団が嫌い。人に合わせるのも嫌い。

人の顔色をうかがって友達ごっこをやってる人はもっと嫌い。

だから、それでひとりになったって平気。

……別に傷ついてなんかないから、全然、本当に平気。



「すずめちゃん、一緒に帰ろう」

なのに、田崎はどんなに冷たくしても私から離れない。