隣に立つ美希さんの手を取った。

 それだけで胸が高鳴って、こんなことを飛び越えた関係を済ませてるのに、と心の中で苦笑する。

 俺を利用すればいい。

 そう言ったら黙ってしまった美希さんに俺の自尊心は粉々に打ち砕かれそうだった。

 それが、お互いにウィンウィンの関係がいいだなんて………。

 美希さん。
 あなたはどこまでお人好しなんだ。

 心の中で苦笑しつつも心の真ん中に温かい何かが広がっていく。

「お礼を……もらえるのならウィンウィンじゃないですか?」

「お礼?」

「はい。お礼です。
 恋人役の練習もしなきゃいけないので、これがお礼でいいです。」

「これが………って。」

 繋いだ手を上にあげると美希さんは顔を上げた。
 目が合って微笑みかけると急いでまた顔を俯かせる。

 俺と目が合う度に顔を俯かせる美希さんの耳は微かに赤い。

 その耳に噛みついて、抱き締めてキスをして…………。
 そんな欲望を飲み込んで付け加えた。