不意にその彼が手を伸ばして、私に覆い被さった。

　タオル一枚の彼に近づかれて急激に顔が熱を帯びていく。
　シャンプーのいい香りが彼からして、余計に胸が騒がしくなった。

　昨日の反省は………と動揺していると彼から見て私より奥にあったボード上の駒が動かされた。

「チェックメイト。」

　したり顔で言った彼の脇腹をパンチする。

「裸族禁止！早く服を着て。」

「顔、真っ赤ですよ？
　…………あ、そうだ。」

　何かを思いついたみたいな蒼葉くんが再び顔が近づけてきて、体を固くさせた。
　するとカプッと耳を甘噛みされた。

「ひゃっ」と変な声が出て、耳を押さえる。

「仕返しです。」

　いたずらっぽい笑みを残して彼はまたお風呂場の方へ戻って行った。

　彼が行ってしまっても顔はまだまだ熱がひかない。

「もう。なんなのよー。」

　熱い顔を押さえて突っ伏した。