季節は巡りまた春が来ていた。
 私の中では蒼と初めて出会った季節。

 蒼の中では少し違うのかな。
 それともこの前の春がやっぱり私と初めて出会ったことになっているのかな?

 隣にいる蒼の様子を伺うと「ん?」と小首を傾げられた。

 うん……可愛い。
 言うと怒るから口に出しては言わないけど。

 蒼の仕事は落ち着きをみせてきて、大学にもよく行ってるみたいだし、私とも今日みたいにゆっくり過ごせる日が増えた。

 出掛けようと連れ出されて二人並んで歩く。

 仕事は透梧さんと俺次第なんだけどね。と、苦笑する蒼は未だに遠い人に思えた。

 隣を歩く蒼がおもむろに言い出した。

「本当は去年渡したかったプレゼントがあるんだ。
 俺らしいプレゼントをしたいんだけどもらってくれるかな?」

「蒼らしい?」

「去年だからさ。
 学生らしいプレゼントっていうのかな。
 でも大切なプレゼントだよ。」

「今だって学生ですけどね。」

 フッと息を漏らした蒼がそういえば両手を後ろにして何かを隠しているみたいだ。

「受け取ってもらえる?」