蒼は本当に遠い人になっていった。
 会えない日が続くと蒼と過ごした日々は夢なんじゃないかって思えるくらいに。

 けれど忙しい時間の合間を縫って蒼は会いに来てくれる。

 寝て、目がさめると蒼が隣に寝ていることもあった。
 幸せを感じて蒼に寄り添うように二度寝したくなるから目覚ましを早めにセットするようになった。

 今日も知らぬ間に隣で寝ていた蒼に驚きつつも幸せを感じて唇を寄せる。

「ん…まだ……眠いよ…。」

 開かない目をこすった蒼が私の体にすり寄った。

「美希さん……。スキ………。」

 え……。

 最後の言葉は消えかけた吐息混じりの声。
 私の驚きを置き去りに蒼からはそのまま整った息遣いが聞こえた。

 ……寝ちゃった?

「なに……この可愛い生き物…。」

 久しぶりに、本当に久しぶり見た可愛い蒼を撫で回してワシャワシャしたい気分になる。
 もうずっと私と会う時の蒼は大人っぽくて、どちらかと言えばいつも私がからかわれて。

 こんなただ甘えたみたいな蒼……。

「私も好きだよ。」

 私にくっつく蒼の頭にキスを落として蒼の体に腕を回した。
 子どもみたいに寝心地がいい場所をすりすりして探して満足そうに落ち着いた蒼が愛おしかった。