大学でもバイト先でも不備なく小言も言われないように美希さんと会っていない時に最大限、自分のやれることをやっていた。

 何かやらかして美希さんに会えなくなるのだけは嫌だった。

 サークルにはほとんど顔を出していないけど、海斗達とはたまにテニスもしている。
 男同士の馬鹿な会話も楽しめる余裕も出てきた。

 忙しくはあるけれど充実した日々だ。
 大切にするものがあるというのは素晴らしいことだと実感する。

 だから………。
『透梧』と検索したナツカワの社員メール。
 ヒットした名前に愕然とした。

 夏川透梧………役職:副社長。

 さすがに俺も副社長の顔までは知らなかった。
 どおりで……。と納得する一方で、そんな奴が俺になんの用が……と胸騒ぎがした。

 俺は……美希さんを守っていけるだろうか。
 そんな不安がよぎった。