「どうして言ってくれなかったの?」

 蒼とご飯を食べている時にそれとなく質問してみた。

「何を?」

 責められてると思ったみたいで面食らった顔をした蒼に拗ねたように言った。

「気持ち。」

「え?言ったよね?」

 ちょっとだけたじろぐ蒼にもう少し意地悪を言ってみる。

「ううん。もっと前に。
 ………望美には言ったんでしょ?」

 望美に旅行の時のことを聞いたんだと合点がいったような蒼が頭をかいた。

「それは……。」

 自分こそ責められる立場じゃないんだけど、少し文句が言いたくなった。

「そしたらあんなに悩まなくて済んだのに。」

 望美から聞いた時はただ驚いて、時間が経つにつれてたくさん悩んだのにという勝手な思いが浮かんでは消えた。

「え……ちょっと美希さん?
 悩んでたって……いつから?」

「……分からないけど。
 たぶん2回目にした時から。」

 頬を膨らませると軽い笑いを吐いて蒼は謝罪する。
 本当、蒼といると拗ねたりふてくされたりが出来て不思議。

「そう……だったんだ。ごめん。」

「ねぇ。どうしてセフレだなんてなっちゃったんだろうね。」