バックスは海外の有名オモチャメーカーで今回、開発中のオモチャの操縦部分を担当する。

　ライバル会社とのコラボ。
　話題性もあってナツカワは公表する時期を図っている。

　みんなは重大ニュースを聞いてにわかに盛り上がった。

　俺はみんなに気づかれないようにナツカワの社員を名乗る男に耳打ちした。

「もし今のが本当ならばあなたはナツカワから厳重に処罰される。
　機密事項を簡単に他人に話していいわけない。」

　俺の忠告に男は不敵に笑うだけだった。
　こいつ、事の重大さに気づいていないのか………。

「あ！すごい。速報ニュースでナツカワとバックスがコラボか！？だって！」

　速報……ニュースって………。

「広報で発表するって聞いたんです。」

「へぇ〜すごいですね。」

「さすが社員は違うね。」

　口の端を上げて不敵に笑う男は盛り上がるみんなに紛れて俺だけに聞こえるように言った。

「５分くらい前に知ってもちょっとの優越感だけでナツカワの不利益にはならないですよ。」

　こいつ……。

　睨んでみても冷めた目で肩に手を置かれた。