「飲んでるか?美希。」

 花村さんに馴れ馴れしく話しかけられるまで存在すら忘れていた。
 蒼が私を翻弄するから……ってまさか蒼、わざと………。

 蒼は涼しい顔でオレンジジュースを飲んでいる。
 私も今日は烏龍茶だ。

「今日は烏龍茶で。」

 本当に馴れ馴れしいし、名前呼びしないで欲しい。
 自分勝手な人なのは相変わらずだ。

「飲みなよ。
 酔うといつもより多少可愛いしさ。」

 余計なお世話だし、なんだか言い方に棘がある。

 スッと伸びた手が私と花村さんの間に割って入った。
 普段より冷たい顔をした蒼が口を挟んだ。

「すみません。
 彼女には飲ませないでください。
 可愛い姿は俺だけが知ってればいいんで。」

 ヒューッと誰かが冷やかすように言って「ラブラブですね〜」と柚か誰かが言った。

 一気に顔が熱くなって俯くのが精一杯だ。