「勘違いがあったのかな。
 それなら嬉しいんだけど。」

 勘違いなら嬉しいって………。
 それって………。

「え……俺は……美希さんのこと、ずっと……。」

「うん。私も。
 もしかして同じ気持ちかな。」

 照れたように目を伏せた美希さんをまじまじと見つめる。

「嘘……だろ。」

 違う。嘘だなんて思いたくなかった。
 でも確証は持てなくて。

「嘘じゃないといいけど。」

 もどかしくて、けれど明確にさせるのが怖くて………。
 顔を上げて俺の目を見つめ返した美希さんにずっと言えなかった言葉をこぼした。

「……….好きだ。」

 消え入る声は震えて格好がつかない。

「うん。私も。………蒼が好き。」

 微笑みながらも同じように震える声で返した美希さんを抱き締めた。

「苦しい。苦しいよ。蒼。」

「うん。ごめ、うん。」

 力加減が分からなくなるほどに抱き締めてそっとキスをした。

 夢じゃない。
 ちゃんと美希さんが俺の腕の中にいる。