アパートに帰っても上の空で蒼を心配させた。

「双葉に……何かひどいこと言われた?」

 優しく問われて蒼の顔が見られない。
 だって……あの子の言うことを信じると………そんな、まさか。

「美希さん?
 なんでもいいから思ってることを言って欲しい。」

 切なくなるような声色の蒼にポツリとこぼした。

「さっきの子が『蒼』って呼び方は特別だって。」

 息を飲んだ蒼が悪態をついた。

「あの、クソガキ……。」

「本当なの?」

 押し黙った蒼にどっちにとらえていいのか分からない。

「だって私、年上のおばさんじゃない。」

「おばさんだなんて!」

 揺れる瞳で私をとらえた蒼に微笑んだ。

「やっとこっちを見た。」