「勝手にこっちに来ておばさんが心配してる。
 おばさんから連絡があったぞ。」

「おばさんって私のママとそこのおばさんと一緒にしないで。」

 またおばさん扱い。
 反省なんてしてないんだから。

 なんだかだんだん子どもの喧嘩に巻き込まれている気分になって傍観することにした。

「一緒にって一緒にしてるのはお前だろ。
 とにかく帰るんだ。」

「だって私……そんな人よりも蒼兄のこと好きだもん!
 私も高校生になったんだよ!
 こんなおばさんよりずっとお似合いだよ!!」

 高校生……。
 なったばかりだとしても蒼とは3歳差だ。

 私は蒼と7歳差。
 この差は地球が滅亡したって変わらない。

 にわかに心が沈んで、蒼の顔が見られない。

 ため息を吐いた蒼が冷たく告げた。

「お前のそれは恋じゃない。」

 その声は何も寄せ付けない冷たさがあって私に掛けられた言葉じゃないのに胸が痛くなった。

 今にも泣き出しそうな顔をした彼女はくるりと向きを変えて走り出した。

「おい。双葉!」

 引き止めようと手を伸ばした蒼につい文句が口からこぼれた。

「もう!蒼!言い方があるでしょ!」

 文句を言いながらも体は走り出していて、蒼と繋いでいた手を離す。

「追いかけることないよ!美希さん!!」

 蒼の声を振り切って彼女を追いかけた。