デートの定番と言ったら映画だけど、映画よりもずっと美希さんを見ていたくてその辺りをブラブラすることにした。
 雑貨屋に入って小さな小物に目を輝かせる美希さんの横顔を見てるだけで楽しかった。

「蒼はいいの?
 私ばっかり楽しんでる気がする。」

「いいの。俺も十分に楽しんでる。」

 休憩に入ったカフェで窓際のカウンターに座る。
 前までは窓際で見せつけるように隣同士に座った恋人らしき二人が店の中でまで手を繋いでいるのが信じられない気持ちでいた。

 今は、今なら分かる。
 一秒たりとも離れていたくないんだ。
 ずっと触れていたい。美希さんに。

 絡めた指先はたまに握り返されてドキリとする。
 だからその手を持ち上げて繋いだまま軽く手の甲にキスをするんだ。