ぼんやりと眺めていた。
自分の行動に嘲笑すると涙が流れそうだった。
物陰に隠れて見つめる先には蒼がいた。
まさかいるとは思わなかった。
いつものテニスコート。
気持ちが晴れなくてテニスコートをただ見たくて足が自然とこちらに向かっていた。
遅い時間に誰かが打ち込んでいる音がして、それが蒼だった。
ただひたすらにサーブを打つ。
ライトに照らされた影が伸びて、その影も蒼と一緒にひたむきにサーブを繰り返す。
汗に濡れる髪をかきあげた蒼がこちらを見たような気がして慌てて身を潜めて息を殺した。
気づかれたのか、こちらを見たなんて気のせいなのか………。
分からないまま数分間。
気持ちは落ち着かないまま動けずにいるとガシャンとネット状の扉が開いた音を聞いてそちらに目を向ける。
出てきた彼と目が合った。
「覗き見なんて悪趣味ですよ?」
冷めた目を向けられて、しかも久しぶりの敬語。
それなのに手を差し伸べてくれた蒼の手をつかめなかった。
見兼ねた彼が数歩近づいて手を取って歩き出す。
「……どこに行くの?」
「…帰らないの?」
当たり前に送ってくれようとする蒼に言葉が出なかった。
自分の行動に嘲笑すると涙が流れそうだった。
物陰に隠れて見つめる先には蒼がいた。
まさかいるとは思わなかった。
いつものテニスコート。
気持ちが晴れなくてテニスコートをただ見たくて足が自然とこちらに向かっていた。
遅い時間に誰かが打ち込んでいる音がして、それが蒼だった。
ただひたすらにサーブを打つ。
ライトに照らされた影が伸びて、その影も蒼と一緒にひたむきにサーブを繰り返す。
汗に濡れる髪をかきあげた蒼がこちらを見たような気がして慌てて身を潜めて息を殺した。
気づかれたのか、こちらを見たなんて気のせいなのか………。
分からないまま数分間。
気持ちは落ち着かないまま動けずにいるとガシャンとネット状の扉が開いた音を聞いてそちらに目を向ける。
出てきた彼と目が合った。
「覗き見なんて悪趣味ですよ?」
冷めた目を向けられて、しかも久しぶりの敬語。
それなのに手を差し伸べてくれた蒼の手をつかめなかった。
見兼ねた彼が数歩近づいて手を取って歩き出す。
「……どこに行くの?」
「…帰らないの?」
当たり前に送ってくれようとする蒼に言葉が出なかった。

