私の方へ戻ってきた彼に周りには聞かれないように声を掛けた。
「あの……蒼…ば……じゃなかった。
蒼?大丈夫なの?
みんなすごくやる気になってくれたのは嬉しいんだけど………。」
「帰ったら美希さんの膝枕と美希さんからのキスも付けてくれる?」
「もう!この際、なんだって付けるわよ!」
軽いパンチを向けるとそれを手のひらで受け止めた蒼は余裕の笑みを浮かべた。
「リハ準備OKでーす!」
「じゃ行ってくる。
これ、貸しておいて。」
そう言って私の首に巻かれていたスカーフを解いて胸ポケットに入れた。
同じスカーフとは思えないほどに、そしてシックだったスーツ姿が一気に華やいだ。
ポロロロ………。
軽く試し弾きのように触った音に作業していた人の手も止まった。
「あの人、人の惹きつけ方、天才的。」
「シッ。」
離れた場所のスタッフの呟きに私も同じ思いだった。
みんな、蒼の一挙一動に引き込まれていた。
「あの……蒼…ば……じゃなかった。
蒼?大丈夫なの?
みんなすごくやる気になってくれたのは嬉しいんだけど………。」
「帰ったら美希さんの膝枕と美希さんからのキスも付けてくれる?」
「もう!この際、なんだって付けるわよ!」
軽いパンチを向けるとそれを手のひらで受け止めた蒼は余裕の笑みを浮かべた。
「リハ準備OKでーす!」
「じゃ行ってくる。
これ、貸しておいて。」
そう言って私の首に巻かれていたスカーフを解いて胸ポケットに入れた。
同じスカーフとは思えないほどに、そしてシックだったスーツ姿が一気に華やいだ。
ポロロロ………。
軽く試し弾きのように触った音に作業していた人の手も止まった。
「あの人、人の惹きつけ方、天才的。」
「シッ。」
離れた場所のスタッフの呟きに私も同じ思いだった。
みんな、蒼の一挙一動に引き込まれていた。

