「はい。この搬入は済んでいます。」

「はーい。モデルさん入りまーす。」

 イベントコンサルタントの仕事は好きだ。

 華やかなイベント当日も、その日に至るまでの地道な裏方も当日が成功を収めれば全てが報われる達成感に変わる瞬間も。

「美希!来場者全員に配る粗品が届いてないぞ。」

 焦ったような花村さんに声を掛けられて、ハッとした。
 そうだ。納期が押して、当日に私が引き取ってその足で会場へ向かう段取りだった。

「すみません!すぐに引き取りに……。」

「馬鹿!今からじゃ間に合わない。」

 私を叱りつけた花村さんは携帯を取り出してどこかに電話し始めた。