『ねぇねぇ。高坂くんがお姉ちゃんのコーチしてるって本当?』

 久しぶりにかかってきた望美の電話にギクリとする。

 高坂……。
 蒼葉くんの名字って確かそんなだったような………。

「高坂蒼葉くん?」

『そう!高坂蒼葉くん!
 すごい偶然だね!どうしててコーチに?』

 望美に全てを話せるわけなくてコートでたまたま隣同士になって見兼ねた蒼葉くんがコーチに名乗り出てくれたことだけを伝えた。

『すごい偶然!運命みたい!!』

 夢見がちで可愛い望美の発言に「ハハハッ」と乾いた笑いをこぼした。

『高坂くんにコーチしてもらってるってことは普通に高坂くんと話せるの?』

「普通って……まぁ、普通かな。」