蓮side─

季節は夏になり毎日体が溶けてしまいそうな位暑い。

今日は夏が俺の家に遊びに来ていた。だがなんだかお互いそわそわしてしまって沈黙が続いていた。

さて、どうしようかと困っている時、「ね、ねぇ!アイス買いに行かない!?」と夏が沈黙を破って提案した。

そんな訳で今はコンビニから帰る途中。夏はアイスを食べながら俺の少し前を歩く。

そんな夏の背中を見ながら俺はふと、俺が記憶が無かった間の事を考えていた。

夏のことを忘れていた間、俺は一体どれだけ彼女を傷つけてしまったのだろう。きっと俺には想像できない程傷つけてしまった。

でも、夏は俺のことを責めたりしなかった。あの時のことを俺は一生忘れない。

すると夏が後ろに振り返り俺を見て「蓮!ぼーっとしてどうしたの?」と声を掛けた。

「なんでもない!」と答えると、「ふーん。」と言いながら夏はまた前を向き直し歩き出した。

その時俺は無意識に夏の手を握りしめていた。「へっ!?いきなりどうしたの!?」夏はいきなりの出来事に目を見開いていた。

そんな彼女に「何となく繋ぎたかったから」と言いながら彼女が食べていたアイスを一口かじった。

「あっあたしのアイス食べたな!!!というかこの手はなに…///」赤面しながら聞いてくるもんだから「だからなんとなくだって。別に減るもんじゃないしいいだろ?」と言うと「別にいいけど…」ともごもご言いながらも夏は俺の手を握り返してくれた。

繋いだ手は温かい。これはきっと夏のこの暑さのせいだけじゃない───

End.