「ごめんなさい!本当にすみませんでした!」



陽太と美那は眠っている栞奈に土下座をしていた。それを呆れた顔で見る先生たちと微笑みながら見る清香。申し訳そうに見る栞奈の母親、愛奈も居た。


裕也が栞奈の頬に触れると、栞奈の体がビクッと動いた。



「栞奈!?」


「起きろ!」



ゆっくりと、栞奈は瞼を開けた。真っ黒の美しい瞳がその場の人達を魅了する。


「あれ……死んだはずじゃ……」


掠れた声で栞奈が呟くと、清香は抱き付いた。そんな二人の頭を撫でる裕也。


「おはよう、栞奈ちゃん!」


「おはよう、栞奈」


「おはよう、松山」


微笑むみんなを不思議そうに見る栞奈。まだ目覚めたばかりで混乱しているようだ。


「栞奈ちゃん。もう居なくならないで!サヤは栞奈ちゃんが大好きだから!」


「サヤ……」


清香の言葉を聞いて、栞奈は泣き出した。裕也はその涙を拭ってあげる。


「栞奈、君はここに居ていいんだよ。もっと笑って。僕はその笑顔が大好きなんだ」


「しっ、篠原先生……」


愛しき人を見たせいか、それ以上に涙が溢れ出した。翔太も近寄ってきた。


「みんな心配してたんだ。生きろ、栞奈」


「山本先生……やっぱり、熱血教師ですね」


「なっ!?」


いじり出した栞奈を見て、翔太はかなり驚いたようだ。その後、幸せそうな顔をする。


「君の存在がどれだけ人を幸せするか分かる?」


突然の質問に戸惑う栞奈。翔太は優しく笑った。



「ここに居る全員はみんなそう思ってるよ」



栞奈は左手首を見た。包帯が巻かれている。自分のことを心配してくれた人に申し訳無くなってきた。


「ごめんなさい……」


「お前が謝ってどうする?謝るのは、コイツらだ」


翔太が見た方に目を追うと、陽太と美那が居た。すごく申し訳無さそうな顔をしている。


「ごめんなさい!」


二人は栞奈に頭を下げた。栞奈はニコッと笑った。


「もういいよ」


そして、病室に笑いがたくさん溢れた。栞奈はとても幸せそうな顔をしていた。